概要
平成20年までは、民法34条の規定に直接基づき設立を許可された社団法人及び財団法人を、総称して公益法人と呼んでいました。これらの法人に対しては、収益事業から生ずる所得に対してのみ課税が行われ、外形的に収益事業に該当していても、公益目的事業として認定されたものについては収益事業から除外され、非課税とされる優遇措置が与えられていました。
しかし、公益法人改革により、公益法人にかかる制度が抜本的に改革されることになります。これにより、クローズアップされるのが会計監査人の存在です。公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(以下、公益法人認定法)では、原則として一般社団法人又は一般財団法人の公益性の認定にあたって、会計監査人を設置することを求めています(公益法人認定法5条12号)。ただし、一定の基準に満たない場合には会計監査人の設置を求めておらず、具体的には、①収益の額が1,000 億円未満、②費用及び損失の額の合計額が1,000 億円未満、③負債の額が50 億円未満、の全ての要件を充たす場合には会計監査人の設置が義務付けられません(公益法人認定法施行令第6条)。
ここで、強調したい点は、公益法人が公益性の高い法人であるがゆえ、一般社団・財団法人以上に適正な財産の使用や会計処理が求められる点です。したがって、高い精神的独立性と倫理観を備えた公認会計士を会計監査人として設置することは、法の理念にかなったものといえるでしょう。また、会計監査人を設置すれば、公益法人認定法5条2号で定められている「公益目的事業を行うのに必要な経理的基礎」の要件を充たすことになり、公益法人にかかる情報開示の適正性を充たすことにもつながるとされています(公益認定等ガイドライン2. (3) ①)。従って、管理業務の基盤を確立する観点からも、会計監査人の設置が求められます。
弊事務所による監査のメリット
とはいえ、会計監査人を設置し、監査法人に業務を依頼することになると、組織的な業務運営がなされることになり、業務が概して煩雑になりがちです。また、一般事業会社で監査法人による財務諸表監査を受けたご経験のある方ならおわかりになると思いますが、原則として監査人は財務書類の作成に関与できないため、実務の中でわからないことがあっても、監査法人内のマニュアルに縛られた対応しかとることができず、懇切丁寧に対応をしてくれないということが多々あります。個人の会計士に業務を依頼した場合、監査証明を行う上での責任も非常に明確になるため、このような対応がとられることがありません。監査法人が監査を行う場合よりも、関与する人員が必然的に少なくなることから、監査報酬の面でもリーズナブルなご提案が可能になるはずです。
公益法人内での会計監査人設置をご検討の際には、ぜひ弊事務所にご用命いただければと存じます。
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