平成23年3月期の事業年度から、資産除去債務に関する会計基準(以下、会計基準)が適用されることになりました。以下のケースに該当する場合などには、資産除去債務の計上を検討する必要があります。
- 建物等の賃貸借契約において、当該物件に係る有形固定資産の除去などの原状回復が契約で要求されている場合(実務指針9)
- 企業が所有する有形固定資産に特定の有害物質が使用されており、これを除去する際に当該有害物質を一定の方法により除去することが、法律上義務付けられている場合(会計基準29項)
資産除去債務の算定が難しいとされる理由は2つあります。
第1に、資産除去債務の計算には、客観的な証拠資料などに基づいた合理性が求められる点です。割引前の将来キャッシュフローは、合理的で説明可能な仮定及び予測に基づいて見積ることが求められます(基準5項)。したがって、見積金額の合理性や客観性については監査人から説明を求められる必要があるため、資産除去に関する第三者からの見積書や、過去において類似の資産について発生した除去費用の実績などを、証拠資料として残す必要があります(実務指針3項)。
第2に、見積金額の算定については、資産除去債務の発生可能性を考慮したうえで、生起する可能性の最も高い単一の金額、または生起しうる複数の将来キャッシュフローをそれぞれの発生確率で加重平均した額とする必要がある点です(基準6項1号)。ここまで、対応する必要があるかという意見もあるでしょうが、有報を提出する上場企業の場合、万全の準備をしておかないと事後的な有報の訂正を求められる可能性があります。近年の有報開示に関しては、金融庁や証券取引所からの注記事項に関する問い合わせが非常に多いため、注意が必要となるでしょう。
第3に、割引現在価値計算を行う必要がある点です。割引前キャッシュフローは、除去に伴う将来支出額を無リスクの税引前利子率でディスカウントする必要があるため、複雑な数理計算が必要となります。
弊事務所では、客観性・合理性を備えた証拠資料の収集をしていただいたうえで、除去費用の発生可能性を考慮しながら、資産除去債務の算定を行います。また、除去債務の算定につき監査人などへの説明が必要となる場合には、計算の合理性について直接説明もいたします。さらには、除去債務の償却計算をするにあたって、どのような固定資産管理システムを導入する必要があるかどうかについても、貴社の管理状況などを鑑みたうえで的確なアドバイスも致します。
利用料金
下記は、資産除去債務の算定に関する参考価格です。なお、実際の価値算定を行ううえでは、個別の見積もりが必要となるケースがほとんどですのでご理解ください。
資産除去債務算定(対象資産1件) | 100,000円~ |
資産除去債務算定(対象資産複数の場合) | 別途お見積り |
財務諸表監査・システム導入対応(1回あたり) | 別途お見積り |
具体的な評価方法、金額に関しては、 こちらからお問い合わせ下さい。