投資事業有限責任組合の監査

概要

投資事業を行う際、従来は、民法上の任意組合や商法上の匿名組合(TK)などの組織が検討されてきましたが、任意組合では業務を執行しない組合員までもが無限責任を負うため、投資行動に制限が生じ、結果として投資ファンドの組成が活発に行われてこなかった経緯がありました。そこで、投資事業を円滑に行うことを目的として、1998年に中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律が施行されることになり、無限責任組合員及び有限責任組合員からなる投資事業有限責任組合を設立して事業を行うことが可能になりました。なお、従来の法律では、組合の投資対象が制限されていましたが、2004年の法律改正により、上場会社への出資のほか、金銭債権の取得・融資等も行えるようになり、法律の名称も「投資事業有限責任組合契約に関する法律(以下、有責組合法)」と変更されることになりました。

投資事業有限責任組合においては、無限責任組合員が、毎事業年度経過後3ヶ月以内に、その事業年度の貸借対照表、損益計算書及び業務報告書ならびにこれらの附属明細書を作成することが求められますが(有責組合法8条1項)、これらの財務諸表ならびに業務報告書・附属明細書(会計に関する部分に限る)については、公認会計士または監査法人の監査証明が必要となります(同法8条2項)。

弊事務所による監査のメリット

投資事業有限責任組合は、一般に投資事業のみを行うことから、貸借対照表の借方科目の大半は、現金や投資事業に関する有価証券や債権などの科目で占められることになります。また、貸方科目は組合員からの出資によって大部分が占められることになるため、計上される勘定科目は非常に少なく、事業会社の監査と比較すると監査にかかる工数は少なくなります。また、監査の業務も少数名の会計士によって行われることが通常であり、関与する会計士のスタッフが多くなると、かえって業務が煩雑になり、決算を行う経理担当者の負担が大きくなるということもめずらしくありません。

したがって、業務の効率性を考えれば、組織的に監査を行う監査法人よりも、単独で監査を行う個人の公認会計士に監査を依頼したほうが、監査意見表明までの作業が効率的に進められるとともに、複数の会計士が関与することで高額になりがちであった監査報酬も、リーズナブルな水準まで抑えることができるはずです。

投資事業有限責任組合の監査においては、実質的に監査法人と個人の会計士の対応に差がない以上、コスト面での比較についても重視すべきであると考えます。監査法人による証明を必ずしも必要と考えていないクライアント様は、ぜひ弊事務所へのご用命をご検討いただければと存じます。

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